「どうせ最低賃金は10月に上がる。それなら、上がる前に自主的に賃上げして支援金をもらった方が得ではないか」——今回はそんな視点で、神奈川県が実施している「神奈川県賃金アップ支援金」をご紹介します。
10月にはどのみち最低賃金が上がります
神奈川県の最低賃金は、例年10月に改定が行われます。人件費の上昇は、経営されている皆さまにとって避けて通れないコストです。
であれば——「どうせ賃金を上げるなら、その前に一足先に賃上げをして、県から支援金を受け取ってしまう」という選択肢を検討してみませんか。
この支援金の大きな特徴:「証明できればもらえる」
一般的な補助金・助成金は、審査によって採択・不採択が決まったり、予算の奪い合いになったりするイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし、この賃金アップ支援金は、次の2点が満たせれば、審査によって落とされるという性質のものではありません。
① 対象となる従業員の賃金を、実際に一定額以上引き上げたこと
② それを賃金台帳などの書類で証明できること
※ただし予算額に達し次第、受付終了となる先着順です。
つまり、「やるかどうか」「証明できるかどうか」が全てであり、腕を競う競争型の補助金とは性質が異なります。どうせ賃上げをするのであれば、この支援金をもらわない理由はない、と言えるのではないでしょうか。
支援金の概要
| 対象 | 神奈川県内に事業所を有する中小企業者等 |
|---|---|
| 賃上げ実施期間 | 令和8年4月1日〜9月30日 |
| 対象従業員 | 雇用保険の被保険者(またはこれに準ずる者)で、引上げ前の1時間当たり賃金が1,500円未満の者 |
| 申請期間 | 令和8年5月29日(金)〜12月4日(金)まで(予算額に達した時点で受付終了) |
交付額(従業員1人あたり)
| 申請区分 | 引上げ額 | 1人あたり交付額 | 交付上限額 |
|---|---|---|---|
| 区分1 | 時給50円以上 | 5万円 | 1事業者あたり250万円(50人) 複数事業所の場合、最大1,500万円(300人) |
| 区分2 | 時給100円以上 | 10万円 | 1事業者あたり500万円(50人) 複数事業所の場合、最大3,000万円(300人) |
こんな会社は要チェック
以下に当てはまる項目が多いほど、支援金の対象となる可能性が高くなります。ぜひ社内でご確認ください。
- □神奈川県内に事業所がある
- □雇用保険に加入している従業員がいる
- □パート・アルバイト・非正規スタッフなど、時給制で働く従業員がいる
- □その中に、時給1,500円未満で働いている従業員がいる
- □令和8年4月1日〜9月30日の間に、対象従業員の時給を50円以上引き上げる予定がある(または、すでに引き上げた)
- □賃金台帳など、引上げ前後の賃金がわかる書類を用意できる
一つでも当てはまれば、対象となる可能性があります。特に、事務スタッフ・受付・清掃・警備・接客など、時給の低い層で働く従業員を雇用している会社は、対象になりやすい傾向があります。
申請にあたっての重要な注意点
この支援金には、見落としやすいポイントがいくつかあります。
- 申請は1事業者につき1回限り複数回に分けて申請することはできません。対象となる全従業員の賃上げを済ませたうえで、まとめて1回だけ申請する、という流れになります。「一部の従業員だけ先に賃上げして申請し、残りは後日改めて申請」ということはできませんので、ご注意ください。
- 複数事業所がある場合も、申請は本社が一括して1回事業所を複数お持ちの企業様も、考え方は同じです。各事業所がそれぞれ賃上げを行った場合、本社が全事業所分をまとめて一括で申請します。事業所ごとに個別で申請することはできません。
- 申請は電子申請のみ紙の申請書を郵送・持参して申請することはできません。専用サイトからの電子申請のみが受付方法となります。あらかじめ、賃金台帳の整理や必要書類のデータ化を進めておくと、申請がスムーズです。
まとめ
- 最低賃金は10月にどのみち上がる
- それなら、上がる前に自主的な賃上げを行い、支援金を受け取った方が得
- 審査で採否が決まるものではなく、要件を満たし証明できればもらえる
- ただし予算に達し次第終了する先着順のため、早めの準備がカギ
- 申請は全対象者の賃上げ後に1回だけ、電子申請のみ
賃上げのタイミングや対象従業員の確認、必要書類の整理など、実務面でご不安な点がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
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